メガデス

天道　なお

ガ世ゼガガ界がガガガゼガ世界がくず崩ズズズズレ崩れゆく

起きぬけで曇る視界のはしっこに焦げた東京タワーが見えた

夢で見た窓は丸くて遠かった　覚めたら窓がなくなっていた（夢？）

夢じゃない。これは最終戦争だ。だって景色が燃えてるじゃない。

ニガヨモギこの世すべての韻律が破壊されゆく音がきこえる

ビル街のすべての窓に反射するグワングワンと歪んだひかり

くずれおちるビルくずれおちる空くずれおちる森羅万象・世界

既視感のない光景だ。散りぢりのタウンページが炎に舞って

爆風にばらばらになる父さんと母さんどうか手をつないでて

ユニクロのフリースはよく燃えるってたしか誰かが言ってたような

ぎしぎしと軋む鉄骨　難産のビルの一室出なければ出な、

剥き出しのくるぶしにガムテープ貼りミュールで下る非常階段

屋上に上り口笛吹きたいなこの世最後の日がくるならば

メガデスのゼツボーゼツボーゼツボーゼツボーまるでゼツボーマニア

かわいそうな子　かわいそうな犬　かわいそうな男　生きててごめん

ぐにゃぐにゃの錆びた眼鏡のフレームが転がっている公園跡地

校庭に突き刺さるのは光？いえ、吹き飛ばされたガードレイルよ

「風吹くな。」

３日間向こうの空はコークスのように盛んに燃えていました

風吹くな。全てのものの切れ端を跡形もなく片付けないで

空爆の過ぎたのちにはさむざむと踏み潰された虹だけ残る

もうすでにここは破壊し尽くされた　首都とはただの概念だった

「さよなら世界。」

犬の目をしている西の夕暮れと今日の世界にわかれを告げた

東京はいちめん焼け野　わたくしは生きて生きて生きてゆきたい

置き書きも伝言も残さないけどこの世の果てを見に行ってくる