性愛と似る

高田 翔子

風はまたすぅっと左によりかかる けっこうあなたのことは好きだな

もしかしてもしかしたらと三度ほど思ったのちであきらめている

古書店の棚の背表紙なでるのはほぼ限りなく性愛と似る

もしかしてあれが蜜月だったの?といまさら気付くこのさびしさよ

大津過ぎ膳所に到るかいたらぬか急行銀河で恋文を書く

君からの便りはなくてなんとなくつげ義春を読んでいる夜

いまはなき早稲田通りのユタで飲むコーヒーすなわち青春の味

やわやわと抱かれているひとときのようによろめく すでに葉桜

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