≪現会員の作品を随時掲載していきます。(作者五十音順)≫
大塚誠也 カレー屋の白き調度に降り注げヒンディー語族が歌ふ抒情詩 東京の宵耀ひて四つ辻はヘッド・ライトを集めて早し ジャズのもとチーズ・ケーキに袖口を汚す男のしはぶき果てず
田一洋 青 お前は水半球の島々の道に染み付く孤独のことか 雪が降り栞のようにまっ白い新聞が差し込まれていた日 深更の野球場にて寝ころんでひとりは広く星を含んだ
田口綾子 今日もまた虹が出ました自転車の鍵はきちんとかけていますか 黒鍵のひとつひとつがとけていく夢さびしいと思わないひと みずいろのらせん階段を降りてくるあなたは冬を燃やす火になる
望月裕二郎 ばくだんがそらからふってくることはないというあんしんどようび 雨音の届かない部屋で膨らます僕たちアフリカのイメージを あなたの云う愛はと問えば巻き髪の女子高生から逃げてせっくす
吉田隼人 右手のみなき人形をいちめんの菜ノ花畑に埋めて帰りぬ 海蛇はアクアリウムに揺れてをりいかなるnも死を定義せず 鉱物の蝶は砕けて消えてゆき魚類の蝶は溺れゆくかも
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