アルジャーノン曲線/風景

頂点のあとには衰退しかない、という悲しい考えがある

齋藤 岳深

〈アルジャーノン曲線〉

アルジャーノン曲線と叫び落馬した酔いどれ詩人の墓に花束

〈風景〉

この辺はいい風が吹くと草一本引き抜いて言う発電技師は

青白く煉瓦の壁が光るような強風の日の過充電状態

風力で走るのだから速いよとバイクを叩く宅配業者

ここからもコンクリートの列柱が見えるねさっき小便かけた

超巨大建築物は来年度紐だけを使い建てられる予定

設計上六千九百九回のねじれが要ると言う紐技師は

〈アルジャーノン曲線〉

アルジャーノン曲線と壁に書き終えて猟銃を口に突っこむ絵描き

アルジャーノン座標のYをどこまでも伸ばしてゆけた彼の空席

〈風景〉

市役所の住民争奪受付が開いたら外へ出てはいけない

受付の広報によると今月の放出物資はあんただってさ

難民は国境を越えるときいつも空を見上げる はやく帰りたい

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