::teen 五島諭

通過する特急電車の後にくる突風の中ひとを恋する

豆缶だと思ってきこきこ開けてみたそしたらアウシュビッツがあった

閉じ込められた蜻蛉が窓にあたる音 気がつくと誰も乗ってないバス

砂浜で空を見ている夜明け前 スタッフロードはまだ終わらない

桜貝一枚握っていたわけはジャージにポケットがなかったからだ

洋上を漂うブイに吹きつける風力8を僕はおもった

あすの朝、置き去りにした空き缶が清掃員に拾われるまえに

手の甲にひとつ雨粒 その中は鏡が何も映さない場所

工場のありかはきっとわからない二人で座るテトラポットの

疾走する特急電車はその後にくる突風の中にはいない

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