::たすまにあ組曲 野呂田 暁

君はかつて「不毛、不毛」と舌を振った。その振れ幅じゃ孵らない地を、
僕は踏もう。そこが結局この不老の国の中だとしても、プルート
                             …ミッキーマウス

a

1 姿勢

まっ先に逃げる姿勢のそのままで非常口灯の影絵は熔ける

ボーリングレーンの神話 永遠に倒されつづける奴隷のトルソ

なお生きる力のトルソ剪定の後切り株は空を仰げり

倒れない祈りのトルソ全村民避難ののちも灯る燈台

a

2 早春

前世が臼でもいいの、おれはパフェ食べながらでも口説ける人なの

暇な日は試聴ブースで二人して「コノキョクイイネ」の口を見せ合う

「愛」を言う君が切るとき12等分のケーキに落ちそうな苺

北を見る君と南に手を振る僕 東西線が来たね、じゃあまた

a

3 環

春の野外音楽祭に行けぬ夜僕らを浸す円い沈黙

ウルグアイ沖溺死者の指輪よりも完き環となり舐め合う僕ら

僕たちは尾骨を舐め合う タスマニアフクロオオカミが自首をする日も

さわらない さわれない さわらないだろう 祭りの余燼を朝が遠巻く

a

4 微動

フェルマータの微動の中で光りいるピアノ線から始まる夕べ

ゆっくりと天井が床になる深夜エレベーターの壁にもたれる

夜半ふいにギターの弦が断ち切れぬおぐらき部屋に立ち籠めるA

リコーダーの管の内にも朝は来て黄色い蘂を震わすあやめ

back to index

a

a

a

a

a

a

a

a

a

a
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送