::環状列車 加納 潤子

春の野の小高き丘でくびをふりショベルカーが草を食みおり

これもやがて過去の遺物の山手線と得々として席に収まる

指の腹の凹凸で知る国々よ日本とはまた平らかな国

点々と座の占め方のおもしろきバス車内での刹那の均衡

吾の上を滑る白き船底の対流はだにやさしかりけり

十一両の光あふるる山手線を牽き行く小部屋はあまりに昏し

漲りて哀しいまでに屹立すそれを蟲達は雌蘂というなり

吾も星座になってみむとて彼方此方に光るピアスを打ち込んでみる

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