::春の天心 清水みゆき |
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峰走(みねばし)るさみどり八十(やそじ)眼うらに沈めて逝きしおばあの春はも さくらばな映ししことなき死魚の眼よ わたつみの魂(たま)透みとほるらし 浅みどり萌えたち潤むに頭(づ)をしづめ君を忘れしその春のこと 昏(くら)みゆく紫雲英田(れんげた)に寝て想ほへばなどて美(くは)しき常処女(とこをとめ)など 踏まれたる片輪の蟻の生きんとす卯月白昼(まひる)を統(す)ぶるもの何 月輪のほそりゆく春くちづけは種子の眠りのひびらぐ聞ゆ われを恋ふやまびこ深山のいづくにや童女たりし日の祖母に似るらむ 暗紅のくるる果実に遺されし君の白歯(しらは)の記憶や 五月 山姥のむかしの恋も哀しよな白羽のごとき捧げ歌とぞ 君の眼に夏は休めりかなかなの初音映せる水面のごとく しんしんと瞼おもれば草深野蛇(くさふかのおろち)が眼とずる音すなり 朝な朝な吾が毒腺の冴へゆくに天心に沁む青いかにせむ 梳(くしけず)るな汝(な)が黒髪のその先ゆ春は崩るる深草溢(こぼ)る 荒駆くる悪罵捧げつ。かくまでに ―― 肩ごしに見し夕顔のいろ |
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