::○ 加藤 平祐

日暮るれば涼風来たり鬼灯市華ざかりなる夏浅草寺

密室にただよう煙ブルースがその間をうめる点火する音

まっすぐに流れる風に糸たらし時たま何かがくらいついてくる

稲びかり雨糸集め声となりて道ゆくものをおりに閉じこめる

雨やどり今日一日の終幕にカーテンコール鳴り止まぬ拍手

旅の空木闇き山道風の音先行くものなし後来るものなし

潮風と車灯の帯の行き交うも虚国の町なみ静かにたたずみ

空みると空きしかたすみ穴がある漆黒の闇目をひらきをり

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